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『シーリング工事』とは?その特徴・施工・注意点をズバリ解説します!

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戸建て住宅やアパートなどの外壁で現在もっとも使われているのが、サイディングボードです。そのサイディングボードの隙間には、『シーリング』というゴム状のやわらかい材質のもので埋めてありますが、見たことがありますか?

ちょっと豆知識
『コーキング』じゃないの!という方もおられると思います。
『コーキング』と『シーリング』は建築・塗装業界では、同じものとして使用されています。本来は違うもののようですが、現在は『シーリング』という表現が主流です。昔気質の職人さんの中には、今でも『コーキング』と言われる方もおられます。

シーリングが劣化すると、雨水が壁の内部へ侵入し、雨漏れの原因や壁の内部の劣化、腐食などに進行していきます・・・

「シーリングにひび割れがある!」
「シーリングが劣化してるので、雨水が入っているかも?」
「シーリング工事は、誰に頼めばいいのだろう?」

このようなお悩みや不安をお持ちの方のために、家を守る止水処理の要「シーリング」について、ご説明いたします。

1.シーリング材の役割

ほとんど外壁にはシーリング材が使われています。サイディングボードはもちろん、ALC造、鉄筋コンクリート造の外壁にも、シーリング材が使われています。

サイディングボードなどは、一般的に水の流れ方向に対する止水処理は施されておりますが、ボードをカットした部分のまわり(換気ガラリまわりやサッシまわり)の止水処理は、必ずシーリング材を使用する必要があります。サイディングボードの目地(すき間)にも同時にシーリング材を使用いたします。

シーリング材の役割は、もちろん外部からの雨水の侵入を防ぐことが一番の役割ですが、地震や風などの揺れで、外壁自体にひび割れが発生しないように、動きを緩衝させる大きな役割もあります。

2.シーリング材の劣化の症状・工事の時期

シーリング材が劣化すると、だんだんと硬くなって、痩せてすき間ができたり、ひび割れたり、縮んでシワができたりします。

サイディングボード:すき間ができている(切れている)
鉄筋コンクリート造 磁器タイル面:縮んでシワができている

一般的にシーリング材はあまり耐久年数がありません。5年から10年ぐらいと言われてますので、外壁塗装工事の時は同時にシーリング工事(シーリング打ち替え)を行うのが一般的です。

3.シーリング工事の施工・工程

シーリング工事は、古いシーリング材を切り取って、新しいシーリング材を入れる『打ち替え』工事と、古いシーリング材の上に新しいシーリング材をかぶせる『増し打ち』工事があります。

劣化の具合や目地の深さなどの状況から判断して「打ち替え」にするか、「増し打ち」にするか、判断します。基本的には、「打ち替え」が望ましいですが、コストは「打ち替え」>「増し打ち」になりますので、お見積りを確認するときにご注意ください。

また、シーリング工事は技術の必要な難しい作業になります。塗装の職人さんでなく、シーリング専門の職人さんが行う必要があります。

それでは、アパートの外壁サイディングボードのシーリング「打ち替え」工事を例に工程を説明します。

古いシーリング材をキレイに除去します。

バックアップ材が必要な場合は、バックアップ材を交換し、マスキングテープで養生したあと、プライマーを塗ります。

※ バックアップ材:シーリング材を充てんする目地の深さを調整して、3面接着にならないようにする材料です・
※ プライマー:シーリング材と接着面との密着性を高めるために塗布する材料です。

コーキングガンを使用して、シーリング材を充てんします

シーリング材を充てんした後、形を整えるために、ヘラで押さえます

養生テープをはがして、乾燥すれば完了です。

4.シーリング工事の注意点

シーリング工事は、あまり目立たない作業で、一見簡単そうな作業にも見えますが、極めて難しい作業です。シーリング専門の職人さんに依頼しないと後で後悔するようなことになります。

「打ち替え」にするか、「増し打ち」にするか、部位や材質によってシーリング材は何を使うのか、充てん時にしっかりと空気が入らないように密着しているか、など・・・

簡単そうに見えて、なかなか奥の深い、技術を要する作業です。
そして、手を抜けば、雨漏れや壁の腐食に直結する可能性がある重要な作業になります。

弊社は、塗装工事は塗装専門の職人、シーリング工事はシーリング専門の職人、もちろん足場工事、防水工事もそれぞれ専門の職人で作業を行います。

やはり、何ごとも「餅は餅屋」です。

5.シーリング材の種類と適正

シーリング材の種類と適正を簡単に紹介いたします。専門的ですので、少しむずかしいですが、お見積もりなどを見るときに少し参考にしてください。

一般的に、だいだい5種類が使用されます。使用する場所や部位、材質によって適正に選定して使用する必要があります。

シリコン系

耐候性、耐熱性が強いが、塗料を重ねて塗ることができないので、塗装面には使用してはいけません。ガラスまわりや水回りの使用に適しています。

変成シリコン系

耐候性、耐熱性はシリコンに劣るが、塗料を重ねて塗ることができるため、もっともよく使用される材料になります。サイディングボードの目地、タイル目地などの使用に適していて、ほぼオールマイティーに使えます。

ウレタン系

弾力性に優れており、耐久性は一番あるが、紫外線に弱いため、必ずシーリング材の上に塗料を重ねて塗ることが必要です。鉄筋コンクリート造、ALC造の目地などの使用に適しています。

アクリル系

新築のALC造の目地に使われることがあるが、耐久性が劣るため、塗替えなどの改修時にはほとんど使われません。

ポリサルファイド系

とても歴史のある材料で、接着性は高いが、金属面の使用には適さない。石目地などに使われるが、最近はあまり使われなくなった。

シーリング材の選定も非常に専門的なので、ご自宅をちょっと補修するときも十分に気を付けてください。

6.ブリード現象とは?

最後に、ブリード現象を簡単に解説します。

ブリード現象とは、シーリング材に含まれる可塑剤が表面に染み出て塗料と化学反応をおこして、表面の塗膜が粘着性を持ち、ホコリや汚れを付着させてしまう現象です。

ときどき、シーリングの上に塗ってある塗料の表面がグレーのシミになって、さらにホコリが付着して黒く汚れているのを見たことがありませんか?
それが、ブリード現象です。

現在ではシーリング材が改良されて、ノンブリードタイプのシーリング材を多く使うようになりましたので、ブリード現象を見かける機会は少なくなりました。しかし、シーリング材の可塑剤の性質を理解せずに使用していると、数年経過してからブリード現象が起きてしまうことがありますので注意しておきましょう。

※ 可塑剤とは、シーリング材に柔軟性を与えるための材料で、塗膜を柔らかくするために使われています。シーリングは外壁のすき間を充てんし、止水処理のために使いますが、地震や気温の変化により、外壁の収縮がおきた場合、シーリング材が硬いとひび割れたり、切れたりしやすくなります。そのため、柔軟性を高めるために可塑剤が使われています。



7.まとめ

いかがでしたでしょうか?

シーリング工事はなかなか難しい専門的な工事のひとつです。また建物に延命のためにとても重要な工事のひとつです。

ぜひ、長い目で見て、しっかりと工事の検討をされてください。

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